くらしをつくる人NOTE

Vol.7
2017.5.30
木工作家 藤本健さん

第七回は、沖縄県南城市玉城に自作の自宅兼工房を構える藤本健さんです。

ガジュマルやアカギ、クロヨナなど沖縄の木を中心に、木工轆轤を使ったうつわを制作しています。

ゆがんでいたり、欠けていたり、割れていたり・・・。

木と対話し、「自然の力を借りて作る」。

木のことを知り尽くした藤本さんだからこそ創造できる、この世にたったひとつの作品を生み出しています。


家もうつわもつくる人

藤本さんは沖縄に住む以前は、家具の職人として東京で働いていました。
かねてより持っていた沖縄に住みたいという想いを叶えるため家族で移住。

心地よいくらしを求めて、沖縄本島の中でもほどよい田舎の南城市玉城にやってきました。

藤本さんは家もご自身の手で造られたのですよ!究極のDIYですね。

この家造りを通じて新たに芽生えた価値観が、自然の素材を生かした藤本さんの作品誕生のきっかけになったようです。

その秘密に雨晴金子が迫ります。

金子「健さんはなぜ、うつわの仕事を始めたのですか?」

藤本さん「木工旋盤(木を削る時に木材を回転させるための道具)の仕事に元々興味があったんです。
元々やっていた家具の仕事は図面を引いて、ルールに従って作る必要があったりと決まりごとが多かったんです。
一方、独学で始めた旋盤は、師匠がいるわけでもないので好き勝手にできたんです(笑)。それが自分には合っていた」

金子「ご自宅もご自身で造られたのですよね。本当に心地よい空間ですね」

藤本さん「家具は1mmずれていると隙間がとっても気になる精度を必要とする仕事。
それに対して、建築は3mmずれても許容範囲であることがわかったんです。
家具の職人として精度が必要な仕事とは別のものづくりを経験できたのは大きかったですね」

木という素材を加工する上での決まりごとを、ひとつひとつはずしていきながら
もっと自由に木がなりたい形に作り上げていく。

藤本さんのうつわ作りに対する考え方は、家造りの経験の中から生まれたものなのでした。

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自然の力を借りる